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2001年日本公演 追っかけ日記
文:西村位津子 <VFF20242@nifty.ne.jp>



2月25日(日) 大宮ソニックシティ
朝、奈穂子さんと新大阪駅で待ち合わせ。こだまで東京へ向かう。自作のスケジュール表を手に、来る3週間の予定を打ち合わせながら、今が一番幸せを感じるなあと話し合いつつ有意義に4時間を過ごす。信じられない素晴らしさの昨秋のカントリー・パイの演奏。それにちなんで奈穂子さんが持参した、ココリコのレモンパイを食べる。この時、私の日本ツアーのテーマは「パイ」に決まる。
東京駅着。友人宅へ荷物を置きに行く奈穂子さんと一旦別れる。姉に東京駅大丸まえまできてもらい、一緒に大宮へ行く。

大宮駅前には倒産したそごうがあり驚くが、この店は存続するっぽかった。地下のバーガーキングに入って巨大なバーガーを食べる。(気前のよい姉の奢り) 5時半ころ、やってきた木村さん(オレンジ色のパンツ)と一緒に3人で会場へ行く。二人ともボブに狂ってるわけではないので、ひそかにちょっとした不安を感じつつ、風の強い中、歩道橋を渡る。

さすがソールドアウト。開場を待つ長い列でチケットを求める人がいる。見てあの人〜、と二人に促されて良く見るとトーマスさんだった。97年公演と変わらない姿。ダフ屋さんをみかけたので聞いてみると、一列目は5万円とのこと。密かに喜びつつ、定価で買った一列目の席へ向かう。席で奈穂子さんと町田さんに会う。客席で知合いに会いちょっと喋る。97年に来ていたドイツのフランクさんたちは来てなかった。

舞台は少し高め、前面の端から端までライトが並べて置いてあるのでよじ登るのは若干難しそうと思う。ギターテクの二人は、エジプト風目玉をあしらったロゴが背中に入った、白地に濃紺(又は黒)のストライプ・ボブ・ディランつなぎを着ていて、なかなかかわいいが会場でグッズとしては売っていない。一列目は舞台にとても近く、開演が近付くに従いびびる。

ボブはとても元気で、爪先とかかとが黒いスクエアトゥの白いブーツ(ピカピカだった)それに法王ライブのような黒いスーツ。初日のせいか、去年の秋からお馴染みの曲がほとんどでボブがソツなくこなしたなあというコンサートだった。
ただテープで聴いてずーっと大好きになっていた Country Pie は実際みると筆舌しがたい素晴らしさ! ラリー+チャーリー+ボブのギターは気も狂わんばかりのカッコ良さ。3人とも自らの演奏だけに集中して視線も合わさないままギターを順番に鳴らす演奏とデービッドとの一体感に奈穂子さんと二人客席で身悶える。しかしこの曲は異様に早く終わってしまうので、淋しい。後から考えても、 Country Pie はこの日がベスト。 Country Pie 一曲だけ果てしなく、20回も繰り返すコンサートでも良いのにとすら思う。

話に聞いていた「フォーメイション」を初めて見る。本編終了後と、アンコール終了後引っ込む前、ボブたちが一列に並び客席をにらみ立ち尽くす、という不思議な演出(?)。デービッドもドラムセットの後ろで立ち上がっている。
奈穂子さんは予備知識がなかったせいで「ボブ怒ってんの〜?」とうろたえている。観客もあきらかにうろたえている。約2分間睨み、ほとんどの観客が立ち上がったのを確かめて、フイとボブを先頭に舞台袖へ引っ込んでゆく。(ボブは無表情で何の反応も見せない)

一列目でとびはねてたせいか、終演後いろんな人から、踊ってたねえ〜といわれる。ドリフターズエスケイプで踊りたい〜、と思ってかなり切れていたと思う。しかし想像とは違い、誰も私たちの後に続いて踊りまくってなかったようでちょっとショック。

でも観客の反応はすごく良くて驚くほど。とくにボブがサビの部分を歌うとウォーと盛り上がるのがすごかった。盛りあがりつつも上品な観客だった。97年東京フォーラム公演初日、半ば暴徒化した観客のステージラッシュを思い出す。

終演後、原田さん吉澤さん宮坂さん小沢さん石永さんなどに会う。原田さんの奥さんと初めて会うがオシャレでカワイイっぽいうえに感じの良い人。姉と木村さんを待たせて皆に挨拶するはめになりちょっと心苦しい。関係者の輪のなかにいる菅野さんも遠くからおみかけする。

大宮でご飯を食べよう〜と小沢さん達に誘われるが、私は夜行バスで帰ることもあり、姉、木村さんと新宿にもどる。(電車賃は姉の奢り!) 電車内で「ボブの靴見た〜?!」と話題になる。(あんな靴みたことない〜!!!)

姉にも、情報提供で協力してもらうつもりでセットリストをメモしてわたす。(後日、掲示板に書き込んでもらった文章をみてちょっと笑う) 新宿駅前の眺めの良い和風居酒屋でご飯にする。嬉しいことに、二人ともボブに好印象をもったようで、木村さんは、余ってる武道館のチケット2枚も引き取るよ!とまで言ってくれる!(ラッキー!) 初対面ながら姉と木村さんの話がはずんでおり安心する。新宿南口発の夜行バスに乗るため、二人を残し先にお店をでる。

同じバスで大阪に帰る宮坂さんと会う。なんでも大宮では皆とマクドナルドにいったらしい。新宿でご飯にして良かったと心の底から思う。バスでもよく眠れ、朝、家へ着くと7時頃。ホームページを更新してから出勤。快調な初日。

2月27日(火) 仙台サンプラザ
お昼すぎまでお仕事。会社を早退して4時頃伊丹空港から仙台へ。機内で持参したホームパイを食べる。5時半頃、空港から市内へのバスに乗ると会社から電話がかかってきて「仙台駅行き〜」というアナウンスが聞こえるのでは、とドキドキする。

夕方で道路が混んでおり、ホテルへ荷物を置いて会場へゆくと開演10分まえくらい。ダフ屋さんに訊ねてみたら「売り切れてないもの、定価以下だよ」との事。(実際空席も目立った)

コンサートは大宮より良く Silvio のコーラスアレンジ変化に奈穂子さんと顔を見合わせて歓喜。素晴らしいラリーとチャーリーのコーラスは息ができないくらい! 二人で肩をくっつけて踊るが、奈穂子さんは途中から腰を下ろして見る。後で聞くと後ろの席の人から「立つと見えない!」と無礼にも背中を押されたらしい。私は何も知らずに遠慮なく楽しむ。

Shelter From The Stormではチャーリーとラリーに釘付け。チャーリーが見事なギターフレーズをジャンと弾く→舞台を横切ってラリーと視線交換→ラリーがペダルスティールで応酬→破顔する二人、という光景に激しく感銘を受ける。やったね、練習どおり!という喜びに他人ながら胸が高鳴る。素晴らしいバンド!!!

Pill-Box Hat で盛り上がってるし、もういいだろ〜、と思って一番まえまで踊りながら移動するが感じの良い警備員のひとに「席に戻ってください」と言われる。3回トライしてあきらめる。

フォーメーションも健在で、何をするでもなく立ち尽くし客を威圧するボブ(とバンド)に笑う。しかも、そうかここではスタンディングオベーションしなくちゃだめなんだ!とばかりに湧き起こる拍手でボブの演出のオモウツボ状態。でもボブの顔怖い。他のメンバーは手ぶらだが、チャーリーだけはネック部分を手で支え身体の前にギターを置いてポーズしている。顔が良いとなにをやっても映える。

終演後原田さんに会うが、良いコンサート後とは思えない怖い反応にびびる。なんでも席をフェデリカと交換していたことを警備員に注意され、公演の真っ最中に席移動させられたらしい。

イタリアからきているというフェデリカを紹介される。にこやかで感じの良い女性。チケットの半券を欲しがっているので集めてあげる。

ぞろぞろとドイツ人ご一行が集団で去ってゆく姿を離れて見送る。別れの挨拶さえもせず淋しいかぎり。階段で立見さんに声をかけられる。

奈穂子さんと会場向かいのこ洒落たレストランでサラダとパンの夕食。めちゃくちゃおいしい。ドレッシングが最高。

食事中、小沢さんから電話。今日は Lowlands を演ったよ〜と報告するがすぐ嘘とばれる。翌日秋田行きバス停で待ち合わせの約束をして奈穂子さんとは別れる。

満ち足りた気分でお風呂に入り11時過ぎ原田さんに電話してホームページ掲示板へセットリストを投稿してくれるようお願いする。吉澤さんとは立て込んでるとのことで話せず。(その時はフェデリカを泊めたとは知らなかった)

2月28日(水)秋田県民会館
朝、仙台駅で原田さん吉澤さんドイツの人たちに会う。彼らは新幹線で秋田へ行くらしい。バスで行く私はフェデリカを托される。フェデリカとは友達かとおもったら、吉澤さんも昨日知り合ったところらしい。

フェデリカと二人でバス停へ向かう途中、帽子を被りインディアン風ガウンを来たボブ・ディラン・ファンに会う。彼はフェデリカとだけ喋り、私は無視される。フェデリカはベジタリアンなのにカレーパンを買ってバス停で困ってる。肉は入ってないんちゃうかな〜、と無責任になぐさめる。

秋田まで4時間弱、比較的快適に過ごす。一緒に乗ってるひとの半分くらいはボブファンぽい(想像)。バスで知り合ったボブファンの男性とバス停でちょっと喋る。ボブは絶対 Aホテルに泊まるよ、僕は97年にはAホテルのエレベーターで会ったんだよ、と自慢される。

奈穂子さんも私もオトナなので、ボブとは握手して抱きついてキスして喋ったこともあるなどとは一切触れず、お互い顔を見合わせ黙っていた。奈穂子さんはAホテルへ向かう。私はあとで部屋へ行くといい別れる。

帰りの夜行列車の出発場所の確認だけする。しかしフェデリカが帰りの足を確保してないときき、駅で通訳として1時間以上付き合う事になる。降り出す雨に二人立ち尽くすが、通りすがりの可愛い女の子が傘を恵んでくれる!秋田の人はなんて親切なんだろう。

駅を出て、近くのインターネットカフェにも付き合うが、値段が高いのでそこには居られないという。雪の凍った道を歩く途中、奈穂子さんから「来るの遅い!私は観光に行く!」と電話が入る。

行き場を失い吉澤さんに電話して部屋に寄せてもらう。フェデリカも一緒で良い?ときくと困った様子。でも行く。

ホテルの前でアメリカ人ぽい夫婦に会う。フェデリカとは顔見知りの様子。仙台より大宮のほうが良かった、と夫が言ってて驚く。(私も奥さんも反対意見)

部屋へ行くが、吉澤さんは立見さん+その友人とおしゃべりしてるので原田さんが相手をしてくれる。テープを聴きながらベッドで休ませてもらう。ホテルのコーヒーももらう。立見さんとご友人は帰り私はさらにくつろぐ。

99年の夏NY、トランプスとジョーンズビーチの会場で「チケットください」女性をみたんだけどもしかして?と聞くと、やっぱりそれもフェデリカだった! 驚き。アメリカの友人への旅行準備手配奮闘談など、吉澤さんのなごやかさにも感銘をうける。

もどってきた奈穂子さんの部屋に移動する。原田さん吉澤さんフェデリカは早めに会場へでかけるが、私と奈穂子さんはのんびり過ごす。この時私は奈穂子さんの心の葛藤など全く知らなかったので、のほほんとくつろぐ。

ホテルのロビーから出る時、立見さんとご挨拶。

会場への道も4年前の記憶と比べながら歩く。新たにコンビニができていた。懐かしい、凍った川の前で記念撮影。

会場入口の列で菅野さんを見かけておそるおそる話し掛ける。「そりゃ覚えてますよ。ジョーンズビーチで会ったじゃない」と言ってくれて感激!

「昨日のシルビオ良かったですね!」「あんなアレンジでくるとは思わなかったよ」と仙台の感想を交換する。菅野さんも同じ気持ちなんてとても嬉しい。

会場、席へ向かうと隣が知ってる人ばかりで驚く。原田さんも場所は違うが同じく3列目だった。別々で取ったのに何故みんな近くの席?

ドイツの人に喉アメをもらう。

さっき会ったアメリカ人ぽい夫婦もお喋りしにやって来る。やはり皆知合いか。急遽くるというジョン・ヒュームさんの分、東京フォーラムのチケットを私が手配することになる。

コンサートは最高だった。振り返ってみても前半のベスト。北国の秋田だけにやるかもと思った 北国の少女、本当にやって笑ったけどそれが凄く良かった!

Mama, You Been On My Mind のイントロ、ポロロロロンと流れるように爪弾くアコースティックギターに心奪われ、嘘だといって のスティールギターもラリー最高。ときどきデービッドのドラムセットの前に座るボブも可愛い〜!

しかし この日は Cold Irons Bound、 Pill-Box Hat なんかハードロックセットが素晴らしかった!やはり前回同様、仙台秋田の東北公演ははずせなかった。行ってよかった! ホントによかった! カントリーパイとシルヴィオは今回のツアーの白眉でしょう! ボブ、確実に良くなってる。

正に乗りに乗ったボブ全開。メンバー紹介もそれまでは曲間にきっちり場所をとって紹介してたのに、今日は Pill-Box Hat の間奏で突然紹介をはじめる。

名前の語尾を楽しげにちょっとのばしてるところから調子のよさが伺える。(以後、曲の間奏にメンバー紹介が定番化する) はっきりいってベタベタな演出だけど、カッコいいよボブ! 名前を呼ばれて照れくさそうにするメンバーの笑顔がまためちゃくちゃ感じ良い、特にラリー。

終演後、チケット半券集めを手伝って、怖いボブ写真も1枚貰う。他の人達は「(97年にバンドメンバーが顔を見せた)イングリッシュカフェってまだあるのかな〜」とつぶやき去ってゆく。ロビーではボブのCD等を売っているおじさん(近くのレコード店のひとらしい)が、若いお客さんにしきりにいろいろボブのアルバム解説をしている。ちょっと喋るが、その20歳くらいの若者とも Cold Irons Bound が良かったと意見が一致する。(「ジャンジャン!ってやつ」)

奈穂子さんと部屋でお茶。吉澤さんと電話でおゃべり(秋田を見た後では大宮は比べ物にならないね〜!)。

駅までの短い道の途中、タワーレコードができているのに初めて気付く。秋田にもタワーか。10:25発夜行列車で大阪へ帰る。日本の夜行列車には初めて乗る。細長いシーツだった。

翌朝10時大阪着。梅田のタワーレコードでライブ盤を買う。売り切れ間近ときいておどろき、そのまま出勤(遅刻)。

3月2日(金)パシフィコ横浜
この日は仕事なのでパス。夜、奈穂子さんから電話あり。セット大幅変更のしらせ。ぺイゲルさんにもメールする。われながら根拠のない横浜=ボストン説(*)で納得ずみのためか、パスしても後悔なく意外なほど。

3月3日(土)東京国際フォーラム
この日も仕事なのでパス。5時開演なので終わるのもはやく、7時頃には奈穂子さんから電話あるが、私は大阪でまだ会社にいるため不思議な感覚。結局聞けなかった大好きな Everything Is Broken だけが心残り。でも大丈夫、私には96年のコペンハーゲンがあるじゃないか。

3月4日(日)東京国際フォーラム
新幹線で1人東京へ。車中、源氏パイを食べ新譜ライブ盤を聴く、素晴らしい Country Pie に感激再び。なつかしの会場は東京駅からすぐなのでとても便利。小沢さんから電話がありすでに会場に入ってるとのこと。

入口でダフ屋さんとお喋りしてると、やってきたおなじみの一行に会う。ジョン・ヒュームさんを紹介され、立て替えていたチケット代金をもらう。

会場ロビーで菅野さんに会う。菅野さんが気さくなので感激再び。宮坂さん小沢さんジョンも交えお喋り。菅野さんも私のページの掲示板読んでるとはびっくり!

あきらかに皆浮かれ気味。でも、ボブのコンサートの開演を待つおしゃべりって、なんて楽しいんだろう!

菅野さんは「まだボブには会ってないよ」とおっしゃるので、「もし会ったらチャーリーの音を大きくして、って伝えて下さ〜い」と頼む。

小倉エージさん夫妻に紹介され名刺をもらう。朝日新聞の記事ではインターネットに触れてましたねというと、あなたの名前は出せなかったんだよ、と言われる。

この日のコンサートは充実していて、1、2を争うであろう曲目の豪華さ。 Woody, Sweet Marie, Can't Wait, など名曲めじろおしだった。私は Real You At Last で喜んで大騒ぎしてたが、あとで奈穂子さんにあの曲で喜んでたのは西村さんだけだったよ、といわれる。

Don't Think Twice のラリーのアコースティック・ギターにもやはり心奪われた。素晴らしいイントロ。Johanna, John Brown という曲目の並びが99年夏トランプス公演を思い出させる名演奏で皆満足。

チャーリーの音もやっと聞こえた。皆はそうでもないっていうけど、私には前の公演までずっと、チャーリー何やってるか全然きこえへん〜、という不満があった。

東京駅で記念撮影。97年にも寄った駅構内の立ち飲みコーヒー店に集団ではいる。

ジョンがチケットのお礼といってコーヒーを奢ってくれる。(2列目だった)今日は200回目のボブコンサートでしかも誕生日だという。幾つだと思う?というので24歳か?というと喜んでいた。あとで聞くと41歳らしい。

初めてみたボブは78年だという。有名な78年ブラックブッシュ公演は? ときくと、行こうとしたけど途中で車が事故った、とか。なんでも本業はタイピストみたいな仕事というので、プロカメラマンかと思ってたというと、僕はそんなに上手じゃないよ写真は趣味だ、と言う。

小沢さんに大阪のチケットを渡す。着々と立て替えたお金が戻ってきて嬉しい。渡したチケットが一列目なので感激した小沢さんが土下座でもなんでもするよ! というので、じゃ土下座して、というと本当にするのでちょっとびびる。

ドイツ人兄にヴァージンメガストアでライブ盤を買うとシールもらえるよ〜、と伝えるととても興味を示すので驚く。ドイツ人兄弟とも風貌と違い、喋ると良い人で好感をいだく。吉澤さんが軽妙な話術でか一躍脚光をあびている。英会話教師の人と喋るが、94年にもボブをみたとのこと。

20:15発新幹線ひかりで大阪へ帰る。東京駅で買ったくるみパイとゆずパイを車中で食す。少し後発の、のぞみで帰る宮坂さんからメールが届く。ボブが乗ってるかグリーン車を確かめたけどいなかった、らしい。あとでわかるが、ボブ達は19:52発のぞみで大阪へいった様子。

携帯に続々感想メールがとどくなか、奈穂子さんといろいろ感想を交わす。あっという間に大阪着。家に着くと11時半くらい。明日から大阪なのでもうこっちのものだ。(なにが?)


2001年3月5日(月) 大阪
ボブ・ディランが街にきてるよ、とFM802でカマサミ・コングが喋っている。 夕方、ベテラン追っかけの小川さんから電話。ボブはリッツ・カールトンに泊まってるとのことで、張りにいくらしい。取ってもらっている友達分チケットを受け取るため、私も行く。

仕事を終えてホテルロビーへ着くと夜10時前。ホテルのバーでチャーリーやラリー、トニー、銀髪のスタッフが歓談してる姿が見えるので、彼らが出てくるのを豪華なロビーで待つ。

10時半頃ラリーが出てくる姿を見かける。1人だけ先に部屋へ戻るらしい。天才でしかも真面目、とさらに尊敬する。11時までロビーで待つが私はそれで帰る。チャーリーファンの小川さんたちは粘ったけれど、結局あきらめて帰ったらしい。

2001年3月6日(火)大阪厚生年金会館
仕事を終えて会場へつくと、6時45分くらい。お世話になった小川さん分のチケットを探す。席が余ってないか招待チケットで入ったジョンに訊ねるがなくて、彼自身も翌日公演分は断られたという。

ロビーで会った菅野さんにまで、図々しく訊ねるがやっぱり駄目。菅野さん自身も座ってみる席はなくて立って見てくれといわれたそうで、冗談かとおもったら本当にソールドアウト公演らしい。

確かにダフ屋さんにかけられた声も「チケット余ってたら買うよ!」だった。秋田なんか2階に客を入れない決断をするくらい売れてなかったのに!(菅野さんにきいたお話)大阪やるやん。

会場外にいた小川さんに事情を話してあきらめてもらう。チケット手配でお世話になったのにお返しできなくて心苦しい。

そばに立っているフェデリカを見つける。なんでも東京公演、一日は見たらしい。今日のチケットはないらしい。会えて嬉しくてちょっと喋るが、始まるから早く入りなさい!と言われ、私は会場内へ戻る。するとほぼ定時7時でアル・サントスのアナウンスが聞こえはじめ、ダッシュで一番前の席へ走る。

奈穂子さんと小沢さん、小沢さんのお友達なにわんさんはすでに座ってる。 席はチャーリーのすぐ前。ボブは白い、テロンとして光沢のある薄手の生地(ジョーゼットか?)のスーツ。照明に白く光ってて、後光のようでさえある。まるでこの世のものとは思えない。お香の香りがきつい。

バンドはボルドーのおそろいのスーツ、でも各自デザインは違ってラリーはフロックコート風の丈長め上着、トニーとチャーリーは二人とも肩大きめのシングルジャケットでトニーはゆったりめ、チャーリーは細身のパンツ。全員のジャケットの前ダーツに、白いバイオグラフっぽい草のモチーフ。

もちろんボブの白いジャケのダーツとパンツ脇にもその草モチーフがライン状に入ってる。でもボブの草モチーフは黒い。ボブは、爪先とかかとの黒い真っ白なカウボーイブーツ(最初の3日間と同じの)

おまけにギターテクの二人もおそろいをあつらえていて(?)、気付くと黒いシャツとボルドーのスラックス姿に着替えていた。

私が座るとほぼ同時に一曲目のイントロが始まり、Oh Babe だと判り、私、奈穂子さん小沢さんは大喜び。(97年再び!)この日は他にも数え切れないほど見所満載で文句の付けようも無く日本ツアーのベスト。疑問の余地無し!

その中でも Tears Of Rage が凄かった。まず演奏するというだけでも涙な曲な上、ボブの声も歌も文句無し、絶妙な新アレンジと素晴らしく練習されたであろう完璧な演奏! さらにラリー&チャーリーのコーラスが怒涛のごとくなだれこんできた時、余りのカッコ良さに小沢さんと声を合わせて、ああー、とうめいてしまう。チャーリーは右手でこめかみを押さえながら歌う。

River flowで、ボブは右足膝から下を振り子のように揺らしつつ、信じられない激しさで、くりかえし延々と舞台を踏み鳴らしてリズムを取る。それにあわせてドラムスを叩くデービッド。

小沢さんと思わずボブの右足を指差してため息。まるで指揮棒かのように、右足でバンドのリズムを自由にコントロールするほか、ボブの身体の動きは最高に活発で、心なしかいつもにないキレもあった。やはりオフがあると違う!

ギターを胸元にふりかざしたり、Wicked Messenger では左手に持ったハーモニカを吹き荒らし(まるで、そろそろ例のヤツ行くぜ!というかのように)突然大きく右手を回して、舞台の中央で右膝をつき、一節吹き鳴らして素早く立ち上がり振り返り、ドラムスの向こうのデービッドにうなづいてみせたり、ギターをひきながら大きく踏み出した足爪先をたてて見せたりと、ボブの神秘的な動きのバリエーションは豊富。

ついにでた Rainy Day で我慢できず踊り出す私達。(一列目なので、後ろの人に気を使って我慢していた。)だが後ろの女性から「見えへんやんか!」と首根っこをつかんで引きずり座らされれて、ちょっとびびる。が、くじけずすぐ持ち直し If Dogs でスキャットする小沢さんに笑う。観客もこれまでで最高。3階まで満員。そのうえ反応も敏感に熱くボブもご機嫌。過去の来日公演では、大阪の観客は評判低かったけれど今回はベスト!これで完璧に汚名返上。

終演後のロビーで、豊田勇三さんが半券をせびられているのに奈穂子さんが気付く。近寄って少しお喋り。豊田さんに「あの曲、Ramonaが良かったね!」と言われて一瞬返答に困る。

宮坂さんが会場そばのレストランを予約しているという。菅野さんも是非ご一緒に?、とおそるおそる誘って見るとなんとOK!こんな素晴らしいコンサートのあとに菅野さんとご飯なんて感激。宮坂さんの奥さんを含め大勢でお店に向かう。

最後の晩餐のような細長いテーブルの右端で、菅野さんグループと楽しくお喋り。

アルバム「武道館」録音の時はトラック数に制限あったから観客の声を録る余裕は無かったんだよ、去年秋にフィル・レッシュ・ツアー見に行った時は西海岸だったからポール・ウィリアムズと会ったよ。来日記念ライブ盤はほぼあのままの形でジェフ・ローゼンから送られてきたんだ最初のアナウンスも含めて。

ヴィクター(ボブの元ロード・マネジャー)が契約を交わしてボブの伝記書いてたんだよ。途中で亡くなっちゃったから没になったけど、初めて内部の人間が書く伝記になるはずだったんだよね。ボブは60歳記念のビデオ用に新たにVTR撮影したらしいよ。インタビューかもしれないね。など菅野さんの隣に座って楽しいお話しを聞く。(至福の時)

「武道館のプロデューサーって自己紹介?そんなこと言わないよ!」と菅野さんの謙虚な言動に感銘をうけ、来日記念ライブ盤のライナーにサインをいただく。「西村位津子さんへ大阪厚生年金公演のあと」といれてもらいさらに感動。嬉しい〜。

宮坂さんは写真集持参でジョンからサインを貰っている。私もせっかくなのでボブの手製プリクラを自慢してみんなの笑いを誘う。チケットプリクラもあったのでトランプスを見たのだと自慢するが、僕はサパークラブを4回見たよ、とジョンにいわれ負けを認める。

持ってない写真集をジョンが送ってくれると申し出てくれ感激する。ラッキー! ラリーの写真もくれるという。ラッキー! なぜか私の分の食事代金も払ってくれる。ラッキー! 明日は一緒に観光しようよと言われるが仕事で無理。

ドイツ人兄にヴァージンで配布されたおまけステッカーの件ありがとう、と礼儀正しく言われ、ドイツ人弟クリスチャンがワサビを平気な顔でパクつくのにびっくりする。レストランでは菅野さん、ジョンとも記念撮影。

外人ご一行はタクシーでホテルへ。タクシーに乗り込む時、ジョンが「僕の部屋へくるならこれがラーストチャンス」と両手を広げるので皆笑う。奈穂子さんと小沢さんは地下鉄終電に間に合うよう走っていく。

菅野さん宮坂さんと私は心斎橋駅までゆっくり歩く。地下鉄御堂筋線、宮坂さんは反対。梅田へ行く菅野さんと私は同じ方向。私が途中で降りる時、「また明日」とさよならし、その言葉に幸せを感じる。そう、明日も大阪なのだ〜。ツアーで最高の日だった。

3月7日(水)大阪厚生年金会館
3時頃、会社にジョンから電話があってびびる。英語の電話に社内が一瞬パニクる。大阪城で観光したらしい。6時45分、会場へつく。入口で友人、一瀬さんと会う。預かっていたチケットを渡しすぐ入場。

ロビーで後藤さんとすれ違い少し喋る。もう1人の友人もうこは、先に来て席についている。離れた席の奈穂子さんを探すがみつからない。2列目に知合いがいて声をかけられる("ハロー")。通路にジョンもいたので電話ありがとうとちょっと喋る。

奈穂子さんは、最前列でも左の一番端に1人ポツンで、ちょっと困惑している様子。席に戻ると、さらにもう1人の友人村並さんも来ていて、初対面のもうこに紹介する。

席は4列目の舞台正面。二人に、こんな良い席で見るの初めて!と感謝され、鼻が高い。(小川さんのおかげ) このツアー初めて、奈穂子さんと一緒じゃないので緊張する。

コンサートは今日も満員の観客で内容も素晴らしく、友達を半ば無理矢理引っ張ってきた負い目を吹き飛ばし、ボブ・ディラン・ファンとして大いに誇らしかった。

東京フォーラムからようやく音がきこえだした(と思う)、チャーリーが、'Til I Fell In Love With You でカッコ良いギターを派手に鳴らしてくれて嬉しい。ボブもやっとチャーリーの方に顔を向けるようになって、それを仰ぎ見つつ徐々にボブに近付いてゆくチャーリーの目は、ボブ尊敬の念があふれ出てて心暖まる。猫背で男前でブルージーなギターがマイク・ブルームフィールドぽい。

珍しくトニーがデービッドに話し掛けギター二人にも耳打ちし合図する。Gates Of Eden だとイントロで気付いてびっくりした。こんな曲も演るなんて、なんでもありか!

ボブは歌詞も覚えてて全ての言葉を力強い声で歌い、バンドの演奏も美しく整いリハーサルのほどをうかがわせた。今回ボブはデービッドに合図を送る場面が多かったけれど、やっぱり肝心な時頼りになるのはトニー。終わりもトニーがまとめる。素晴らしかった。

Rainy Day で奈穂子さんがひとり踊ってるのが見えた。私も頑張らないと、と思う。もうこと一緒に踊るが、すぐ後ろの若い男性グループも大騒ぎしてる。本編終了後は観客みな総立ちでボブ達を称える。

でもボブはバンドメンバーには整列させておいて、自分は後ろを向いてひざまずくかのような姿勢でハーモニカを並べ直したり、ギターのシールドを整えたりして、わざとらしく時間をかせいでる。(今までそんな事したこと無いくせに)

ボブって後片付けもするんだ!、と村並さんが感心するのでちょっと笑う。ラリーもボブを見て微笑んでいる。ラリーって優しい。両手で髪をセット(?)したりした後、ボブはようやく大喝采の観客の方を振り向き、拍手に満足した様子で引っ込む。やっぱりボブって不思議な動きの宝庫だ。

終演後、吉澤さんが二列目にいることに気付く。紫のスーツを来ててサラリーマンのよう。ひさびさに峰永さんとすれ違いちょっと喋る。奈穂子さんは素早く帰る。宮坂さんも会社の人と素早く帰る。

一瀬さんと喋ってると菅野さんが「じゃあね」と声をかけてくれる!優しい〜。「じゃあ博多で!」と答えて一旦さよなら。

今日で日本を去るドイツ人兄弟とジョンにもお別れ。ジョンには激しくさよならの挨拶をされる。小沢さんがそれを見て手をたたいて笑いShut up! とジョンに叱られている。ジョンに I'm already falling love with you と言われるが今日のボブの演奏曲目とかけてる(?)所にさすがジョン・ヒュームと思う。

一瀬さん、村並さん、もうこと会場そばで食事。久々に同年代とご飯、って感じだ。私以外、皆初対面ながらまずまずなごやか。風にふかれてでおもいっきしコーラス歌ってしまったよ〜。最後には、ボビー!!!て思わず叫んでたよ!、と一瀬さんが言うのでやったーと思う。

好感触で乗り気だったので、一瀬さん村並さんには、名古屋近いし一緒に行こうと誘っておく。本町駅までいく途中小川さんから電話。知ってる情報を伝える。大阪の二日は最高だった。

3月9日(金) 福岡サンパレス
やはりお昼すぎまで仕事。早退し新幹線で博多へ。車中でスティックパイを食す。強風でダイヤが乱れ、いくらか遅れがでていて無事行けるのかと心配するが、なんとか無事到着。翌日仕事で岡山の工場へいかなくてはならないので、博多→岡山の夜行バスチケットをすばやく購入しにいく。 すると、なんと売り切れ! そんな人気路線とは・・・ 明日朝7時には岡山駅にいなくちゃダメなのにな〜、と呆然とするものの、とりあえず会場へ行く。

97年以来懐かしの博多駅からタクシーでサンパレスへ。開演ギリギリに到着。 席にすべりこみ隣の奈穂子さんから「西村さん〜!間に合ったか〜!」とあたたかく歓迎される。宮坂さんはすでに双眼鏡をかかえスタンバッていた。

コートを脱ぐとはじまったイントロがお気に入りのハレルヤ! ああ、この曲も聴けるなんて嬉しくて泣きそう。奈穂子さんと座りながら踊る。この曲で踊ってるのは私達だけのようだけど、そんなことは気にしない。

しかし、この日の タンブリンマンが凄かった。 このボブの抑揚はどこからやってきたメロディなのか、もう今までのタンブリンマンを聴いても満足できない領域にのぼりつつある、よくわからん絶好調ボブのパワーに、うめき声さえあげてしまう。いわば78年のI want you のような歌いかたです、念仏を唱えるような。やはり隣で目を見開いている奈穂子さんと無言で感動を示しあう。

Don't Think Twice で、ボブが前方の観客を見てか、歌ってる途中で吹き出してビックリ! こんなの初めて! 何事があったのか一体。なんでボブはこんなにご機嫌???

Rainy Day Woman のイントロのドラムス。客席の前のほうにたちあがる外人客が何人か現れる。Rainy Day で前に行かなくて一体いつ行く??? しかもここは博多。97年バレンタインの日、Rainy Dayの後、舞台に登ってボブに抱きついた思い出の地である。スタスタと前へ歩いてゆき、通路でガンガン踊る。この曲で踊らずして、ボブのコンサートの楽しみをすべて味わったといえるのか???

怒涛のごとく盛り上がる演奏と観客で、ついにこの日本ツアー初のステージラッシュ! そう、ずっとこれを待っていたのですよ!!!

奈穂子さん(やはり前に来ていた)と二人、あとは舞台前でボブを見上げて喜びの渦の中ただ楽しむ。やはりツアーは後半に限る、との思い深まる。

終演後、97年以来の高塚さんと少しおしゃべり。フェデリカにも会う。 奈穂子さんとタクシーで駅へ。岡山行き夜行列車がある事が判明。深夜発の乗車券を購入し、駅前で博多ラーメンを食べる。

小沢さんから電話。「5 believersを演奏したよ」と言い、動揺させることにやっと成功。食後のお茶をしに、駅前のロイヤルホストへ。トニー・ガルニエそっくりの人がいて目を疑るが、やはり別人だった。「ロイホにトニーが居るわけないやろ〜」と奈穂子さんに笑われる。

その後、博多泊の奈穂子さんと別れ夜行列車へ。これは寝台ではなく、椅子式の夜行列車で、ニュージーランドで乗ったタイプと同じだった。これでこのツアー、新幹線、飛行機、夜行バス、タクシー、寝台列車2種制覇か。そして翌日は昼間の長距離バスに乗るのだ。フェリーがないのが惜しまれるが、旅を満喫と満足。しかしさすがに行程がハードかもと思い、広島は奈穂子さんと一緒に泊まる事に変更。

3月10日(土) 広島厚生年金会館
早朝、無事岡山駅に到着。仕事先の岡山山間へむかう。
CDウォークマンを聴こうとおもったら、イヤホンがなくてショックを受ける。仕方なくコンビニで購入。往復4時間バスの車中、11月のツーソン公演のCDを聴く。そこでボブが歌うタンブリンマンは、昨日の福岡と同じ歌い方だと気付く。昨日発明した新しいタンブリンマンじゃ無かったのか!

18:11岡山発の新幹線で広島へ。18:47広島着。夕方の混んだ道路にバスが立ち往生。地下鉄の無い街には住みたくないと思う。7時開演には間に合わないなーと思い"Desolation くらいに着くかも"と奈穂子さんにメールする。会場に着くと私の大好きな Real You at Last. なんたる幸せ。ボブも仕事してるねんな〜と思う。

広島だけに Masters Of Warを演る、ボブの判りやすいところが好き。麗しい RELEASED。94年は小倉では大合唱、97年大阪では合唱にはならなかった、ツアーで一回でるこの曲、今回は広島か!みんな合唱してて、ボブもにこにこしていた。

終演後、ホテルに戻ってロビーで皆と合流。トニーを見かけたので、恐る恐る声をかける。「君知ってるよ、どこにもくるねえ、スウェーデンにもいただろ」と言われる。

大勢で中華風居酒屋で食事。ホテルに戻り、原田さん達のお部屋で5人お喋り。私ひとり忘れ物を取りに自室に戻ったとき、エレベーターでトニー、チャーリー達と一緒になる。ビックリする。

チャーリーはやっぱり、背が高くて痩せてて男前だった。 右手の人差し指と中指2本をおでこにあててクルッと敬礼させ、「じゃ!」と颯爽と去っていった。こんな仕種、生でみるのは初めてだった。さすがアメリカ人やる事が違う。トニーも「またね。」と笑ってくれて、私のような狂ったファンにも優しく、ちょっと恥ずかしかった。

03/11/01広島〜名古屋
朝、原田さん吉澤さん奈穂子さん西郡さんとロビーで待ち合わせ。
少しボブ達がでてくるのを待つが、観光したかったので私だけ平和公園へ。原田さん西郡さんも付き合ってくれる。が、直ぐ二人とは別れ、あとは1人で観光。原爆ドームの前で Heaven's Door を演奏するギター少年を見かける。路面電車に乗り縮景園へ。冬晴れのなかお茶会など催されており、日本庭園を楽しむ。広島駅で、もみじパイを買い新幹線で大阪へ帰る。

車中、原田さん奈穂子さんから、ボブに会えた、と携帯にメールが届く。良かったですね!!! と返信。やっぱねらい目はホームである。3時ごろ大阪到着。一度着替えに家へ戻り、北浜に友達の書展を見に行く。梅田でご飯。充実した日曜日だった。

3月12日(月) 名古屋市公会堂
仕事をまた早退。近鉄特急で名古屋へ。
車中、鶴橋駅のコンビニで買った、北海道チーズパイを食す。 名古屋の駅がきれいになっていた。高島屋もできていた。奈穂子さんに電話して、高島屋内の小奇麗なカフェで落ち合い、軽食を取る。

会場のある鶴舞駅で小沢さんと合流。駅すぐの公園の中、ライトアップされた古くて奇麗な会場が浮かび上がっていた。「きれいや〜」と叫び、まるでアメリカ南部チャールストンを思い出すな〜、と奈穂子さんとうなずき合う。 文句無しにこのツアーのベスト会場。
ブートレググッズの屋台を物色。キーホルダーと生写真をつい買ってしまう。

宮坂さんと会う。やはり双眼鏡を持っていた。
菅野さんとも会ってお喋り。菅野さんは、ボブのコンサート後感想を伝えたい人トップ3に入る人となっていたので、博多広島とお会いできなくて淋しかったのだ。とても嬉しい。しかも「ディランに会ったよ。元気そうだった」とさすが菅野さん! 今日はどの曲をやるのかなあ、という他愛ない話の相手をしてもらう。嬉しい。

Somebody Touched Me もついに登場! グローリーグローリーと一緒に歌う。このツアーのオープニングはどれも素晴らしい曲ばかりでほれぼれする。

エンパイアバーレスクは人気ないくせに、ボブはしつこくそのアルバムの曲を演奏するけど、私はエンパイアバーレスクが大好きなので、 I'll Remeber You なんか大感激だった。ボブもトニーも2階席の拍手に喜んでいた。 今日のボブはダックウォークはあんまりないかわりにギターを真横に抱えて左右に身体を振る素早さを誇示してた。
チャーリーがギターを右脇に抱えて膝を曲げて前かがみにひく80年代ギターヒーローぽいポーズを微笑ましく眺めるトニーとラリーの笑顔も美しかった。

この日はヘヴンズドアの日でした。 ボブは微妙に違うメロディを歌うので、今まできいたことの無いような曲にきこえて、ラリーとチャーリーの"ウーフー"コーラスも素晴らしく、このツアーデビューを飾る見事な出来。毎日毎日、驚いて、しかも満足できる曲が違うなんて本当に幸せ。

この日はステージラッシュなし。柵と仕事熱心な警備員にはばまれたので博多・広島のようには一番前に行けなかったものの、後ろの方の席で レイニーディ以降は踊って腕を振り回す。

終演後、宮坂さん菅野さんとお喋り。菅野さんとポスターの前で記念撮影。 菅野さんは優しくて、わざわざボブ仕様のサングラスもかけてくれる。
しかしそんな事をしているせいで菅野さんとバレ、ファンに取り囲まれる。 あ、私のせいや〜、と思いそそくさと謝り挨拶して帰る。名古屋駅まで原田さん達と一緒。私は1人新幹線で大阪に戻る。

3月13日(火) アクトシティ浜松
昼まで仕事。 仕事でUSJ(当時はまだオープン前だった)へ行き、ショッピングセンターでUSJのキャラクター、ウッドペッカー・パイを買う。仕事は早退。新幹線で浜松へ。

6時前、先に着いている奈穂子さんとホテルの部屋で合流。
原田さん達に電話して、部屋に来て休みませんか〜?と誘うが、もう会場に入ってるといい、あなたも早く来なさい!と怒られる。しかし奈穂子さんと私は部屋で一休み。奈穂子さんは昼間町田さんと過ごしてた話とか、ボブの楽屋を張っていた話を聞きながらくつろぐ。

この日は2曲すくなかったけど、大阪1日目に次ぐ、素晴らしい出来の公演だった。なによりも良かったのは、 Hard Rain、それに I Want You と Every Grain Of Sand。

ボブが本当にスゴイ時は本当にスゴイけど、この浜松の Hard Rainがそうだった。心臓を素手でつかまれるような歌声だった。 I Want You で " I Want You " と歌われた時には、もう一生ついていくわボブ、と思った。 終演後、菅野さんが「アクシデントがあると燃えるんだよね」とおっしゃっていた。その通り!!!
My Back Pagesで 音のでないハーモニカを交換してもう一回始めた演奏は、ボブの真骨頂だった。燃えてたんやボブ。

終演後高塚さんとお喋り。なんでも浜松と武道館のチケットを盗まれたという著しく理不尽+不幸な話を聞いていたけど、結果的には見に来れて良かったですね〜と相槌。

皆と一緒に浜松駅へ行く。ボブのお見送り。 新幹線のホームには顔見知りのボブ・ディランファンが勢揃いしていた。 で本当にボブが歩いてきてビックリした。

警備の人に囲まれたボブに、ウドーの男の人1人がつきっきりで話し掛けていた。(しかし、あきらかにボブは礼儀正しくしてるだけで、話を聞いてなかった)ボブは、グレーのスウェットのフードを被って、黒い皮のハーフコートを着て、右手に傘を持っていた。このツアーでは初めての見る素顔のボブだったけど、ほぼ毎日会場でみてたから、あんまり違和感なかった。(当たり前か)

普通のおばさんとかは平気で前を横切ってたけど、ファンはボブに恐れをなして声さえも出せず、近寄ろうとさえしてなかった。ハーメルンの笛吹き男の話のように、ただボブの後をついて歩くのが精いっぱい。警備もいらんかったんちゃうん、とあとで奈穂子さんと話す。
かえって、あとからホームにやってきたバンドメンバーの姿に「ラリー!」 などと声援が飛んでいた。ラリーの方が人気あったのかも。ギターも上手いし。

菅野さんもお見かけする。 ボブの前を横切って「ハイ」とうなづきあって歩いていく。かっこいー。さすが菅野さん、と小沢さんと唸る。同じく東京へ帰られるのであろう。
少し離れた場所で電車を待ってられるので、菅野さんとお喋りしにいく。私は浜松泊、というと「君もこの新幹線で東京いきたくなったんじゃないの?」と言われる。やはり今日の公演は素晴らしいという感想を交わす。みうらじゅんさんとご友人がそばにいたので(やはり同じくホームで待っていた)紹介してもらい、少しお喋り。みうらさんは大阪へ行けなかったらしい。残念!ツアーのベストでしたよ! と自慢する。新幹線に合わせて浜松は曲数少ないんだな。とひとしきり。

ホームのファンが、窓から見えるバンドメンバーに手をふってサヨナラ。 窓辺に座るトニーとラリーが、ファンサービスで手を振ったり、笑顔と身振り手振りでいろいろ笑わしてくれる。演奏が世界一なだけじゃなくて、普段の姿もステキだなんてさらに好感度アップ。とくにラリーの笑顔は近くで見ると輝かんばかり。その後私達のあいだでは、黄金の笑顔のギタリストと呼ばれる。

お見送りしたあと浜松組は、うなぎやさんで夕食。そのあと奈穂子さんと私はホテルへ戻る。大阪から来た山下くんも偶然同じホテルだったので、一緒に戻る。

そのホテルのエレベーターでツアー中そこここで見かけたファン親子3人と、一緒になる。(息子さんのことを、髪型から通称 ブラックジャック と呼んでいた) きいてみると、なんと大阪の人だった! 世間はせまい。
宮坂さんから、ボブにサインをもらったとメール。 よかったですね〜! と返事。


3月14日(水) 日本武道館
朝、ホテルで優雅な朝食。やっぱり旅はこれでなくっちゃね。原田さんから新宿行きはやめて、会場で落ち合おう、と連絡あり。小沢さんとも会場で落ち合うことにする。

普通列車で行く奈穂子さんは先に出発。 私は時間があるのでホテル傍にある楽器博物館に行く。 そこで、山下くんに会う。充実した博物館だったが、楽器を弾ける人と来たかった、とおもう。

山下くんはギターを弾けるが左利きなので「禁じられた遊び」しか弾いてもらえない。私はヘヴンズドア程度しか弾けないので様々な楽器を堪能できない。残念! お昼を食べて東京まで山下くんと一緒に行く。 駅でうなぎパイを買う。

初めて武道館をみる。まるで大阪城のような門がある。
入口前には「BOB DYLAN」と大きな横断幕まである。宮坂さんと合流。まだまだ早い時間なのに、人が続々とあつまってくる。平日なのにこの人たちは一体仕事はどうしてるのかと思うが、人のことはいえない。ボブのボディガードの人が現れ、私をみて笑う。やはり昨日の今日なので覚えているのだろう。狂ったファンのようで恥ずかしい。バンが入ってきて、車から降りるボブが一瞬みえる。

原田さんも合流。フェデリカと世間話。(「ホワイトデーなんて日本にはあるのね!」)サウンドチェックで You Ain't Going Nowhere が聞こえる。バッキーのスティールを思い出す。

菅野さんが歩いてくるのを発見し、走ってお話しにいく。皆で一曲目あてクイズをする。(結局4人ともハズレ、おそるべしボブ) 菅野さんだけはすぐ会場内に消えていく。さすが関係者、尊敬。

中へはいるとまるで古びた体育館のよう。昨日のうつくしい近代的な浜松会場とは雲泥の差。しかし、雰囲気は厳かで歴史を感じる。一列目の私達の席からみると舞台は異常に高く見上げなくてはならない。とてもよじ登るのは無理。チケットを引き取ってもらった木村さんとご友人にご挨拶。

舞台はとても高く、私の気分はなぜか不安定に。そのために座って見上げる。 ボブ達のテンションはかなり高い。やる気万全とみた。タンブリンマンを演奏したときは、マクギンがルールーと出てくるのかと思ったけれど、それはなかった。なくて良かった。(もし出てきたらボブの歌うパートが半分減るし)

Not Dark Yet がすごく良かった。やはり最後の公演、感傷的になってるせいか、このような正統派名曲にやられる。私はやっとこのあたりで正気に戻り、Rainy Day では完全に復活。ちゃんと踊る。何といってもコンサートを楽しまないでどうするのだ。せっかく武道館の一番前の観客なんだからボブに、楽しんでいるよ〜、と示さなくてはどうするのだ! しかも数少ない若い女のこ2人。気のせいか私達のブロックだけ異様に盛り上がってる気がするが、そのまま奈穂子さんと踊りまくる。

このツアーでは最高の演奏の一つ、ハイウェイ 61で、ついにボブも舞台の前の方へ出てきてくれるので、さらに狂ったように両手をふりあげる。隣の若者がなにか横断幕のようなものを広げていたが、目の悪いボブはそういうのはいつも無視するので、私のふり乱れる長い黒髪を見ていたはず。(その点は、奈穂子さんともあとで論議になったので、結論は第三者に譲ります)

曲が終わって私達は力尽きてほーっと席につく。ボブのセットリストがアップテンポとスローな曲が交互に演奏されるメリハリ選曲で良かった〜。風に吹かれてが終わっても、ボブはまだまだ余裕あったぽいけど、私のほうでもう心身ともにヘロヘロ。こんなに何回も続けてみたボブで満足感いっぱい。しかも、どの日も良かった。どの日もよかった。コンサートを見ただけで、いろいろな感情に圧倒されて帰り道は身体もよろける。

終演後、奈穂子さんと記念撮影。

雑踏の中から聞こえる会話に感激する。
「インターネットで日本のボブ・ディランのページがあって、その掲示板で内容がものすごく良くなってるって、いっぱい書き込みがあったんだよ。だから、先週のフォーラム公演もみたんだけど、もう一回来たの。でも、来て良かった。」
本当に、後ろから抱き付いて感謝したいくらい嬉しかった。私が何かボブの助けになったみたいで。

小沢さん達と合流。石永さんは、客席でロジャー・マクギンとすれちがったそうだ。新宿の居酒屋でごはん。皆にさよならし、11時のバスで大阪に戻る。明日からはもうノーマルな日々。明日からはもう、夜になってもボブのコンサートはないのだ。やっぱり日本ツアーは特別に楽しい。我ながらあきれるほどボブの虜。次はいつ見に行こう?ボブがツアーしてくれていて、なんてラッキー! 次のコンサートが待ち遠しい。



日記 総合版 / 原田英茂版 / 安部奈穂子版 / 西村位津子版






注 * 横浜=ボストン説
私が今までアメリカ東海岸へボブを見に行った時、ボストン公演はいつも会場へ行くのにすごく大変な思いをするわりに、平均的な公演内容だったことが多かった。横浜はボストンと地理的にも共通点多く(大都市近郊、海沿い、独自の文化を持つ都会、大会場)、結果、横浜公演はパスしても構わないだろう。という西村説。言い訳?



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