2001年日本公演
1997年以来4年ぶりとなる来日公演レビュー。
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武道館もよかった!
レビュー: 奈穂子
(本文まま)
武道館には初めて行った。なんか、ドキドキした。今日で終りと思うからか、武道館が持つエネルギーにあたってるのか。今まで小さくも美しい会場を廻ってきたので、人が多いだけでも怖い。
うすら寒い巨大な部屋の中のとってつけたようなステージ。まるで盆踊りのヤグラみたいに高い。これがあの有名な武道館かぁ。78年にBobがこのステージに立ってる姿を当時の写真とアルバム武道館で合成してみる・・・大分イメージ違うよなぁ。
向かって右手にある巨大な時計が7時になって、もう内臓全体がバクバク。緊張のあまり倒れてしまいそう。隣りの席の西村さんも今夜はちょっと変かも〜、うろたえぎみで、何かを探すかのように会場に目を走らせてる。
その隣りは妙にはしゃいだ男の子、後ろはムッツリした(ごめん)男の人たち、その後ろも、そのまた後ろも更にそのまた後ろもムッツリした男達が続く。・・・二度と振り返らんとこ〜。
照明が落とされ、やっぱアカン、心臓止まりそうや。ラリーが黒髪をなびかせて登場。ああBobが白い衣装を着てるぅ〜。なんか神々しい。大阪で見た時は「船長さん?」とちょっと思ったけど。
バンドメンバーも揃いのボルドー色スーツできめてる。(型は微妙に違うのだ!!)まるでBob、スーパースターやん!遠くに感じるわー。(実際、遠くて高い)そんな思いもDuncanが始まると飛んでいく。Duncanできたかー、さすがはBob!!Duncan&Bradyはこのツアーで大好きになった曲の一つ。
歌詞が聴きとれず曲の大意が判らない。聴きとれるのは”Doctor Said”とかだけだよ。後は意味不明。繰返し部分は”ビ〜ノ、ジャックトォーロ〜”ってきこえる。それも又愉し。とにかく渋くてカッコいいの〜。
なんと、後ろにいたムッツリした男の人たちが感激のあまり次々立上がっていくじゃないですか!みんなBobに会えてめっちゃ嬉しいんや〜。これで気兼ねナシに立てる!そう私達はアリーナのラリー側の席だったのだー。この日のうわずった気分には丁度いいかんじ、立つとよく見えるし。
ハープ付きTambourine Man。当然、武道館中が大熱狂(多分)。2曲目からやるなぁBob!一瞬、ロジャーマッギンのことを思い出したけど、すぐに忘却。
棒立ちのままBobがやるせなく歌うDesolation Rowを聴く。誰も座らない。(座ったら見えへんねんけど)何かの儀式に立ち会ってるような気もする。Time Outからの曲が2つ続いて意外だったが、嬉しい驚きは、次がMama ,You Been On My Mindだったこと。なんで〜?嬉しすぎる〜。4回目?これは、比較的ややレア曲では?Bob的に今これなのか?(Boots of Spanish Leatherはやってくれなかったなぁ、待ってたのに)でもこの全てをフッとばす美しさよ!!
Bobが”カバリン”っていうとこと”キュウ〜リアス”っていうとこを聴くと鳥肌たつ思いだ、毎回違うねんけど。ラリーの完璧な前奏ギターにからむ、なんか身体に力入らんようになるBobのギター。この感性がBob World!
なんとも云えぬ微妙な感情を表現するBobのヴォーカル。鼻抜け声がたまりません。よれねじれ声も〜。一時留め置き後ムセび泣きはいり声も〜。言語では命名困難なBobの多彩な神技的パフォーマンスの数々。この一瞬が捨て難い!たまらんわBob的表現も全てのコンサート中にふんだんにあったけど、それをもっと味わいたくって握ってると、次のたまらんわBobを逃してしまう!
どんどん捨て去って、一音一音付いていかなー。もったいないけど。思えばすごく贅沢な時間を過ごしてるねんわー。
最終日の初出に場内騒然!Baby Blue〜。起立したまま見上げて聴いてるので、ありがたさもなんか倍増。そして、この日本ツアー中に大好きになったTangled Up In Blue、この日も大喜び〜。私も西村さんもその隣りの知らない男の子も、各々自分が”素晴らし〜い”と思ったところで大拍手(”ブル〜”って言いおわって歌が途切れるところで、BobギターのとてつもなくBobギターなところで、もうたま らん〜ってときには歌のワンフレーズのために、その他賞賛ポイント限りなし!)Bobこの曲本間好きやねんなー、キ〜ポン キ〜ピンォ〜ン。私も大大大好きやで〜!
始まる前に”サウンドチェックでやっていた!”という証言多数のNot Dark Yet、しめやかに始まり荘厳な雰囲気を重ねていくこの曲に陶然。やっぱ、何かの儀式に立ち会ってるような気がするなぁ、地鎮祭とか・・・(何でや!)。棒立ちで聴いてるから?いや〜、なんか神秘的空気に満たされててん。とにかく素晴らしい日本初ナマDarkでした。でも、出てくる言葉は ”Bob、超かっこええ!!!”やね〜ん。
実は私、Drifter’sと Wickedを素早く見分けることが密かなテーマで、今夜が最後の力だめし!とばかり身構えてたんですけど、(横浜では、一節目の歌詞中”ウィークネス”か”ウィッキド メッセンジャー”かどっちだったか聞き逃してずっと漠然とした不安を感じることに・・・。でももう大丈夫!Drifter’sは、タンタ〜ラタンタ〜ラタンタ〜ラタンタ〜ラ、チャンチャンチャンチャンチャランラ〜ン、チャ ラララララ〜ラ〜ンで、Wickedはタンランランランタランラ〜ンですよね!皆さん)
始まったのはCold Irons Bound。Bob激シブ〜、よくドス?がきいてたわぁ。Rainy Day Women、ああ力が抜けていくこのイントロ・・・。この曲は天然THCなの〜?Bobの歌声で更に抜けながらも手を叩き喜ぶ。ああ、これで本編終りか・・・と落胆してる暇はないのだ〜!ヘラヘラしながらも踊り喜ぶのだ〜。
Bobが”エ〜ベバディ マスゲッストォ〜ン”と歌うとなんだかとっても嬉しくて大興奮してトビ跳ねてしまう。やっぱこれ呪文では?Bobの呪術にかかって、もうBobなしで生きていけない体になってしまうのかも〜。(最近、藤原紀香の”タレントに踊らされちゃダメよね”っていうJ−phoneのCMのことを思い出す。)このツアーでまた罪のない青少年が多数Bob中の道を歩むのね。怖い人だよ。
ああ、この整列タイムも今日で見納め・・・。Bobは武道館でもやっぱり後ろをむいたままゴソゴソしてる、何してるのBob?ラリーもトニーもみんな並んで待ってるのに。ピックやハープ類を所定の位置に置き直してるのだろうか?几帳面な性格なのだろうか?また、もしかして、みんな”頭の中で10Mississippiまで数える”とかの示し合わせがあるのだろうか?疑問は尽きない。
思い返せば大宮で、立ち去るBobを追い かけとりすがり、”スンマセンでした〜”と泣いて謝りたくなったのは私だけじゃないでしょう?そのくらいBobの顔は怖かった。
”サンキュー”のひとこともなく睨んでてんもん。けど、単に慣れたのか、Bobの表情が本当に和らいできたのか、いつのまにか違和感なくなってる・・・どころか!言葉も動きもないのに観客との交流として成立してるやん!しかもいい感じ。しかもBob的不思議感覚に満ち満ちてる!実際のところ、この 横一列に並んで客をニラむ(?)儀式にどういう意図があったのかわからなかったけど・・・。
Bob達が帰ってくるまで、アンコールを求める熱狂的歓声の中ではあるけど、ちよっと座って休憩。息つく間もなくラリーが王子様的ロングヘアーとキラキラ笑顔で再登場、Bobも微妙にステキなフワフワヘアーと仏頂面で登場、Love Sickが始まった。13回聴いたなぁ、Rolling Stone,13回聴いたなぁ、If Dogs〜,13回聴いたなぁ!!!!不動のアンコール3点セット。
ちなみに、この日は遠かったため確認ができなかったけど、If Dogs Run Freeを歌うときBobは本当に犬のような顔をしていた。ずっと眉を下げて苦しげに歌い、”フリィ〜”の瞬間激しく眉を上げるBobの顔はまるで風雪雨霰に耐え抜いてきた老犬!(まぁそういう趣旨の歌じゃないんだけど)
Watchtowerで更に大盛り上がり〜。火に油を注ぐ始末!!西村さんもすっかり普通(目を輝かせ雄叫びをあげ狂ったように踊り喜ぶBobファン)に戻ってる。Bobかっこいい〜。何故かここらへんから、最後のギターの音のあたりでお辞儀するBobに合せて私も自然とお辞儀してしまうのでした、変だけど。
で、何?何?次の日替わりおたのしみ曲は何?驚愕の日本置き土産的初出曲かも〜。それとも、まさかHighwayやってBlowin’そして終わりに持ち込むつもりじゃ・・・。そんな・・・、もしそうだったらBob、貴方は人の皮を被った鬼だ〜!!!
数秒の間に激しく揺れ動く私のメンタルボディ、しかし次に始まったKnockin’ On Heaven’s Doorの美しさが動揺した私の心に平安と歓びをもたらし、優しく浄化してくれるのです。うつくしいの〜。ビュ〜ティフル〜。もいちど聴けるとは〜、ここで出すとは〜!憎いよっ。ウソ、憎くな〜い。ああ、ああ〜。
ちょっと名古屋で聴いたヴァージョンより若干今までのに近くなってるような気がする。でも、あの例のとこ、あの人智を超えた神秘的な展開、思わず顔が綻び腰力が抜け膝を折り曲げ手を叩き喜んでしまうほどのゴールデンな素晴らしさよ〜〜〜。
黄金郷ってここにあったのか〜!幸福感に包まれた会場内、響きわたるはもちろん”ハイゥエ〜シィックステ〜ゥゥワァァァァ〜〜ン”凄いBob!もう武道館は山火事状態、なのにまだ油を大量投入するのですか〜?もはや狂ったように腕を振り回し奇声を発しながらとび跳ね踊りまくるしかない!一緒に”ゥワワアァァァァァァン”と叫ぶしかない!95年には、何故この歌が人気あるのか判らなかった。今も全然判らな〜い、只大好きになっただけ!!
踊り狂ったのが良かったのか、スカッと抜けた精神状態でBlowin’In The Windを迎える。(実はゼェーゼェーいってた)Bobと一緒にいられるのはあと数分間、まさにこのツアーの締めだ、今度こそホントに神聖な儀式っぽい。
ここに立ってると全員がコーラスのところで大合唱してるように思える。(勿論そんなことはないんだろうけど)BabeでもReleasedでも何故か合唱はオリジナルヴァージョンでBobとちょっと輪唱入ったりして(どっちも譲らんよなぁ)面白かったりするねんけど、これは別、私も”〜ブロインザ ゥウウィ〜〜〜〜ン”って合唱し納め。
2001年日本ツアー最後の整列。信じられない。何でも終ってしまうんだ・・・。ありがとうBob。必死で手を振る。Bobも観客に”ありがとう〜”とテレパシーで言ってくれてるように感じる。すごい!僅かだが頷くような動きまで!
ああ、終わった。もしかして、もう一曲ぐらいという期待は外れ、人の波の中で一歩づつしか前に進めずちょぼちょぼ歩く。来日を知った時、全部行くかどうか2秒位迷ったけど、来てよかった〜。21世紀最初にBob Dylanを観れて縁起もよかった。
Bobも絶好調、威厳に満ちて力強く何かカワユく超かっこよく微妙に不思議、繊細で深みがあって怖い程神秘的で美しい(見た目も何故か97年より美しく若返ってたし)向かうところ敵なし状態!!Bobの未来は明るく輝いてるね。(お陰で私はもう治癒したと思ってたBob中がぶり返してしまった。)いつかは判らないけど次に観る時も素晴らしいコンサートになりますように。
- なほこさんの大阪-浜松レビュー
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