2001年日本公演


1997年以来4年ぶりとなる来日公演レビュー。
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BOB DYLAN
レビュー: 藤田護
(本文まま)
(2001年3月2日(金);パシフィコ横浜 国立大ホール (横浜))

ボブ・ディランがやって来る。それを知ったのは、21世紀も残り少なくなった12月。

これまで、デイランと言えばバングラデシュのコンサートと、30周年記念コンサートの模様を収めたビデオ(これも、ジョージ・ハリソンが出てるからと、衛星放送から収録したもの)を持っているくらいで、恥ずかしながら、有名曲以外は判らないと言うお寒い状態。歴史上の人物が来日するということで行くことに決めたというのが、本音のところか。

さて、チケットの購入は、12月16日9:30から電話予約スタート。これが、意外と早くつながり、前のほうの席が取れた予感。よーし、いっちょ、予習に力を入れるか!

まずは、公式アルバムから。まず、はじめに考えたことは、コンサート当日に演奏される曲目は何か、ということ。そこで、インターネットで公式サイトでも認められているBOB DATESのウェブ・サイトから SONGS PERFORMED IN 2000の項目を開き、2000年中にディランがコンサートで演奏した曲目の一覧をプリント・アウト。そこに書かれた125曲のリストをもとに、コンサートで演奏された曲が多く収録されているアルバムを購入して聞き込むことから始めることとした。

チケットを予約した12月から翌年の3月までに購入したCDは、「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」「時代は変わる」「アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン」「ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム」「ブロンド・オン・ブロンド」「追憶のハイウェイ61」「ジョン・ウェズリー・ハーディング」「タイム・アウト・オブ・マインド」「デイラン・アライブ!」「デイラン・アライブ!3」。これで、リストの8割方はカバーできたが、聴くほどにデイランのファンと化した私は、さらにレンタルCD を借り、一部はインターネットで30秒ほどのサンプルを得るなどの涙ぐましい努力を重ねたのであった。

しかし、噂によると(?)ディランは、昔の曲は原形を留めないほどにスタイルを変えて演奏するとのこと。かといって、短期間に2000年中のブートを買いあさる余裕も金もなく、1枚だけ手に入れたのが9月13日のアイルランドはダブリンでのブート。うーむ、なるほど、これでは原曲を聴いていても何の歌だかわからないものがあって、コンサート当日が心配になってきた。

そうこうしているうちに、大宮と山形でのコンサートが始まった。そこですかさず、BOB DATESのウェブ・サイトをチェック。この2日間のセットリストを加工して、3月 2日のセット予想を作成。さぁ、このうち何曲が演奏されるのか、知らない曲が歌われるのも楽しみだ!と気持ちを切り替えて、コンサート当日を待った。

そして迎えた3月 2日。この日もしっかり仕事を休み、同月24日のディープ・パープルの予習グッズを渋谷で買い込んでから横浜に向かった。

会場に入るなり、お約束のパンフレットを購入しようと辺りを見れども、それらしいものがなく、あれ?という感じ。

そのまま席につくと、ステージ作りの関係で、前の8列のイスが取り払われていて、かなり右寄りながら前から9番目の好位置をゲット!ラッキー!おもむろに予想セットリストを広げると、左隣の青年が「今日のですか?」と興味深げにで話し掛けてきた。彼は、これまでにも何度かディランのコンサートに来ているらしく、ディランやコンサートの話をよもやまと交わす。

ややあって、辺りが急に暗くなり、ディランを紹介する英語のアナウンスとともに、いよいよコンサートが始まった。おお!ディランの凛々しい表情まで見えるぞ!

先ず一曲目はDUNCAN AND BRADY。公式音源では未発表の曲で、いきなり事前のブートでの予習が役立った。続くTO ROMONAも、アルバム収録音源とはかなりスタイルが変わっていて、ブート音源とほぼ似た展開。

3曲目のIT`S ALRIGHT MAのハードな演奏に感激したのもつかの間、4曲目が判らず(後でIF YOU SEE HER,SAY HELLOと判明)今一つ乗り切れず、予習の大切さを再認識。次の「運命のひとひねり」は予習が活きたものの、6曲目も、どこか聴いたフレーズながら、曲名が出て来ず、いらいら(これも後でSILVIOと判明)。

良い演奏なのだから楽しめばいいのに、曲名が判らないことに不満な自分にも、また、いらいら。しかし、その後は「激しい雨が降る」「くよくよするなよ」「LAY,LADY,LAY」「漂流者の逃亡」「いつもの朝に」と予習が役立ち、快適にコンサートを楽しむ。

いやー、それにしても、ディランのすばらしい声量、ハープ、ヘタウマ?ギターに感激!感激!バックも含め、結構ハードなプレイにしびれる−!!!そしてアンコール前のラスト「ヒョウ皮の縁なし帽」のまたまたハードな演奏で、観客をうならす。

演奏後、それまで行儀良く座って演奏を聞いていた観客が立上がり拍手し続ける姿を、じーっと見つめるディランの姿が、なぜか印象的。どんな思いで見つめていたのだろう、と気になった。

そして、アンコール。重たいLOVE SICKに始まり、待ってましたのLIKE A ROLLING STONEで盛り上げ、IF DOGS RUN FREEでジャズの香りを燻らし、「見張塔からずっと」「追憶のハイウェイ61」と超有名曲を続けた。

そして「いつまでも若く」にジーンとさせられている内に、あっという間に最後の「風に吹かれて」が終わってしまった。歴史上の人だからと見に来た私が間違いでした!と唸らせる本当に素晴らしいコンサート。

またも鳴りやまぬアンコールを求める拍手を前に、じーと観衆を見つめるデイランの姿。ふとその表情に孤高の人の寂しさのようなものを見たのは私だけだったのだろうか。





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